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一年で一番嫌な日

僕は誕生日が大嫌いだ。理由は家族の誰一人もおめでとうを言ってくれないから。
僕が何も言わなければ家族一人も気づかず通り過ぎる日。クリスマスに彼氏がいない女の子のように卑屈になる一年で一番嫌いな日。十日くらい前から、「もうすぐ来る。あぁ嫌だ」と毎日呟きながら過ごす事になる。

どうしてこうなったか?それには理由がある。奥さんと僕の誕生日に対する考え方が違う。お父さんに誕生日は必要がないというのが、彼女の考え方。「よそのお父さんなんてどこも誕生日なんてしてないよー」と言う。
僕の誕生日は、僕の父がサラリーマン時代に勤めていた会社がユーハイム・コンフェクトという神戸の洋菓子の会社だったので、僕の誕生日には必ずとてもとても大きなケーキで祝ってくれた。誕生日というのは幸せいっぱいというイメージしかない。

彼女と結婚してから僕に誕生日パーティはない。

それを3年程前から訴え続けた。彼女は誕生日パーティこそやろうとするが、「お誕生日おめでとう」とは口が裂けても絶対に言わない。だから僕は拒否し続けている。

こんなことがあった。僕が全く面識のない彼女のお友達のお父さんと誕生日が近いという事でいきなり合同誕生日会をするという。この方とはその後仲良くなったが、向こうのお父さんも変に思ったに違いない。

とにかく、自宅では誕生日を絶対にしない。蔑ろにされている。こういう事が続いているので僕は自分の誕生日が大嫌いだ。いや、もう誰の誕生日も大嫌いだ。ずっと斜めにかまえてやる。